2014年5月16日金曜日

セシウム汚染の限界はどこにあるのか:八ヶ岳南麓

清里周辺の汚染調査は線量だけで済ませていた。それほどひどい汚染があるとは思わないが、ガンマ線スペクトロメータを用いた土壌測定を行い、より正確に放射能汚染の有無を確認しておく必要はある。

まずは、八ヶ岳の裾野部分にある屏風山の山頂(1649m)で採取した土壌のガンマ線スペクトルを調べてみた。場所は小淵沢(現在は北杜市というべきだろうか)、つまり山梨県にある。
屏風山は八ヶ岳の南麓に位置する。編笠山への入り口にあたる。
(国土地理院の提供する地図サービスを利用。)
標高も高いし、セシウム汚染の噂もあまり聞かないし、これは「安全地帯」の確認に終わるだけだろうと高をくくっていたら、出鼻をくじかれた。

放射能レベル自体は35 Bq/kg(18時間測定)と低かったのだが、セシウム137のピークが綺麗に浮かび上がったのだ。もちろん、汚染レベルはかなり弱いので、このピークは非常に低い微妙なものだ。(先日の鹿沼土の測定では35 Bq/kgと出たが、そのほとんどがBi-214のピークからの寄与だから、屏風山の場合の放射性セシウムの寄与は35-35、つまり、せいぜい1ベクレル程度以下であろう。)しかし、スペクトルを使って鹿沼土(汚染無しと判定)と比較すると、放射能汚染があることがはっきりと確認できる。

赤いグラフが屏風山のもの、緑のグラフがプロトリーフ社の
種蒔き土のもの。
汚染が軽微であることから、Cs-134のピークはもっと目立たない。福島原発の汚染ではなく、1960年代の核実験の名残りなのかもしれないが、Cs-134の796keVピークがあるはずの付近に、緩やかな盛り上がりがあるように見えるので、2011年の原発事故が原因である可能性が高いと思う。

どうやら放射性プルームは甲州にも到達していたようだ。果たして甲府や大月はどうなのだろうか?プルームの拡散分布は連続的になるはずだから、山梨県の汚染地図をつくれば、屏風山周辺の汚染が福島原発事故によるものなのか、それとも核実験やチェルノブイリ事故の名残りなのか、はっきりするだろう。

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