2012年12月27日木曜日

東京新聞の記事より:取手市で心臓に異常のある小、中学生が急増している件

信じられない記事が東京新聞から出ていた....

取手(茨城)に住む小中学生を対象にした心臓検診で、心臓に異常があると認められた子供達の数が、2011年を境に急増している、とのこと。

12月26日の東京新聞(茨城版)の記事より。
先日調べた印西市、関東のホットスポットとして有名な柏、松戸。これらの地域のすぐ近くにあるのが取手だ。この辺りは千葉、埼玉、茨城の県境が複雑に入り組んでいる。この辺りの地理に疎い人にとっては、千葉県の柏市と茨城県の取手市は、県が違うので遠く離れているような気がしてしまうが、実は利根川を挟んで隣同士に位置する街だ。つまり、取手もホットスポットの中にあるといってよい。

セシウム137の健康への影響については、チェルノブイリ原発事故では、当初過小評価されていて、「ヨウ素131の危険性に比べれば、あまり気にするな」といった対応が取られて来た。しかし、事故から30年経った今、当時10代の若者だった人々に心臓血管系の疾患が顕著に表れ出し、大きな注目を集めている学術論文はこちら)。実はチェルノブイリの事故ではセシウム137に比べて、セシウム134の放出量が少なかった。それは、核燃料をセットして間もなくして事故を起こしてしまったからと言われている。

一方、福島原発の事故では核燃料の使用期間が長かったため、セシウム134とセシウム137が、原発事故によって、ほぼ同量の割合でまき散らされた。(私の調査でも、初期に測ったγ線スペクトルは、セシウム134と137のピークの高さはほぼ同じだった。最近のスペクトルを見ると、セシウム134のピーク高の減少がはっきりわかる。)セシウム134の半減期は2年、セシウム137の半減期は30年、つまり前者の方が圧倒的に放射能が強い(比放射能の議論を参考のこと。セシウム同位体の比放射能のデータは米国Argonne国立研究所、ANLのデータを用いると、1300/88=約15倍ほどセシウム134の方が比放射能が強いことが確認できる)。

まとめると、セシウム134の影響は、日本の事故に特有の可能性がある。そして、放射性セシウムの放射線が健康被害を与えるのであれば、それは事故が起きてから2年程度で顕著になるはずだ。というのは、半減期30年のセシウム137が、事故から30年経とうしている今になってチェルノブイリの人々に毒牙を向いているからで、その類推から、半減期2年のセシウム134は、事故から2年ほど経過したところで人間に害を及ぼすと思われるからだ。それは、現在のチェルノブイリの状況と同じような状況、あるいはそれよりも悪いかもしれない。というのは、セシウム134は主に2本のγ線を出すからだ(セシウム137は一本)。一つはセシウム137のγ線より若干エネルギーが低いが、もう一つはずっと大きなエネルギーを持っている。

半減期が短く放射能が高い上に、γ線の数も多く、そのエネルギーも大きいとすれば、セシウム137のみで心臓病が多発している、と疑われているチェルノブイリよりもひどい状況が、思いの外早い段階で発生してもおかしくないだろう。

今回、取手市で、2年を待たずに子供達の心臓にすでに影響が出てしまった理由を考えてみろ、と言われたら、セシウム134の影響を除外するわけにはいかないだろう。

先日やった計算でも、ちょうど2年くらいで内部被曝は平衡値に到達する(計算はセシウム137を想定していたので、やり直しが必要だが)。様々な事実が共鳴しあっているように思えて来た。

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