2012年12月23日日曜日

手賀沼に高い放射能を帯びた焼却灰が運搬された件

手賀沼と印旛沼。千葉県の北方にあって、関東平野東部に隣り合って位置する湖沼だ。かつては美しかっただろうこの2つの湖は、1960年代の高度経済成長によって、まず水質が汚染され、それは20世紀が終わる頃まで続いた。日本でもっとも汚い湖だった(最近は改善されているようだ)。その水質汚染のひどさにも関わらず、この付近(柏市や印西市)では手賀沼や印旛沼の水を上水として利用してきたと知って驚いた。おそらく、地域の住民は健康被害で苦しんできたことだろう。

そして、2011年3月に、福島原発からやってきた放射能プルームが降雨によって地面にタッチダウンし、「死の灰」によって再び汚染された。この付近は関東における「最悪のホットスポット」として知られる。内部被曝で苦しむ運命(の可能性)が、住民にのしかかっている。

この二重苦に加え、「三重苦」が手賀沼の近隣の住民に押し付けられた。それは、柏や松戸などで生じた「焼却灰」、つまり高い放射能をもつ廃棄物(8000 Bq/kg以上の放射能汚染)の保管場所に選ばれてしまったのだ。この付近の住民は、昔から汚染との闘いを続けて来たのだろう。報道では、千葉県の運搬トラックを止めようと体を張って阻止しようとしている写真が公表された。たとえば、毎日新聞のものは以下のような感じ。
毎日新聞の記事から。
住民への説明もなく、いきなり運搬が始まったという。たしかに1年程前にこの話は出たと思うが、しばらく行政はおとなしくしていた。きっと、住民が忘れた頃を狙って、強行突破することにしたのだろう。年末の忙しい時期をわざと狙ったのか、それとも柏の焼却場は「死の灰」で埋め尽くされ、いよいよ切羽詰まったのか、どちらかなのかはわからないが、住民への説明も、住民からの同意もなしにいきなりやるのは、「国民主権」を無視した「封建主義」のやり方に見える。

「お上(千葉県)」の測定では、今回運び込んだ「死の灰」は、柏の分が37,500 Bq、松戸の分が11,700 Bqだったという。そして、今後も搬入は続き、毎月200トン近くの量の、高い放射能をもった「死の灰」が手賀沼の処理場に運び込まれることになるという。

当局は今回の処置は「あくまで仮置」で、2015年4月までに運び出すと言っているが、すべては国がつくる最終処分場が建設されるかどうかにかかっている。この計画がこけると、六ヶ所村と同じように、いつまでも(永遠に?)「仮置」することになる。だいたい、最終処分場に選ばれる場所は、こういう「死の灰」を全国から引き受ける地獄のような所になるはずで、誰が名乗りを上げて誘致しようとするだろうか?

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