2011年10月13日木曜日

横浜のストロンチウム90

横浜港北区でストロンチウム90が検出されたというニュース。驚きだ。ストロンチウムは常温ではもちろん金属固体で、融点が800度近く、沸点は1300度もある。気化しやすいヨウ素や液体金属のセシウムと違って、原子炉から200キロも離れたところに飛ぶとは思っていなかった。

報道によると、ストロンチウム90が検出されたマンションの屋上の塵には、大量のセシウム137、134も含まれていたそうで、そのストロンチウム/セシウムの量の比は、確かにかなり小さい、つまりストロンチウムは飛び難いのは確か。問題は飛び難いけど、まったく飛ばないわけではないと言う点。

東大の早野さんは、早いうちにストロンチウム90の飛散について議論していて、実際その検出実験もやっている。その他の情報(特にチェルノブイリ関連)では、セシウム137が検出された場所では、その10%の割合で必ずストロンチウム90が出たという。今回の横浜の場合は0.5%程度らしいから、チェルノブイリよりはかなりよい。爆発して燃料ごと吹っ飛んだチェルノブイリより、ベントや水素爆発で飛散した福島の方がストロンチウム90の飛散が少ないのは当然だろう。しかし、京大原子炉の小出さんも「(ストロンチウム90の拡散は)当然」といった感じでコメントを出していて、ちょっと驚いた。

ストロンチウム90は、魚介類を通じて食品経由でしか来ないと思っていたが、微量なら風でも飛んでくるのだろうか?本当に「微量」であることを今は願うしかない。

ところで、ストロンチウム90の性質について今まで調べてなかったので、調べてみると、セシウム137やヨウ素131とは随分異なることがわかった。まずもって、ガンマ線が一本も出ない。全部β崩壊。これでは、ガンマ線を測定するガイガーも、シンチレータも、ゲルマも使えない。(ベータ線を測るガイガーカウンターはあるが、γとβを選り分ける必要があるだろう。更にはβとγの同期をとって、セシウムから来る寄与を抜かないとストロンチウム90の影響は測れない。シールド有り無しを比較して、巧く測定するのかな?)ストロンチウム90の測定は、実は間接測定で、それもかなり面倒な手順を踏むらしい。誤差が大きくなるのでは?とちょっと疑っている。

(追記:横浜市も追試し、Sr-90を確認。Sr-89と合わせて約130Bq/kg。さらに同じ場所からCs-137,134が約4万ベクレル/kgも検出されたという。比率にして0.3%ちょっと。たぶん、この割合でSr-89,90は関東一円に広がっているだろう。セシウムのレベルが高いところは要注意だ。)

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