2011年8月17日水曜日

軽井沢の放射能汚染:セシウム汚染測定の旅2(離山)

以前の測定の旅で、離山の西と東で、軽井沢のセシウム汚染の度合いは分かれているのではないか?という仮説を建てた。今回の雲場池の測定で、早くもその仮説は破れそうになっている。というのは、雲場池は離山のすぐ東にあるからだ。(もちろん、雲場池の測定値についてはまだ議論の余地があるので、即断は下せないけれど。)

とにかく離山での測定は欠かせないと思い、登ってみることにした。
離山への道...ではなかった。
涼しげな、まさに軽井沢の風景。気持ちよい。と...やっている場合ではなかった。この段階で道に迷っていたのだった。この道の行き止まりは、金髪の白人女性の別荘。ベランダで本を読んでいた彼女に睨まれて退散する。

15分は損しただろうか?別荘地立ち入り禁止の看板で、気後れしたのがいけなかったのだ。気にせず、別荘地管理棟までいくと「立ち入り禁止:ただし登山者を除く」とある。もっと早く教えてもらいたかった。

イギリスでよく見かけた黄色い花の野草が登山道の脇にたくさんあった。Wood avensにそっくり。
Wood avens (Geum urbanum)にそっくりの野草。

軽井沢はそもそもイギリスに風景や気候が似ているから、ショーが避暑地に選んだ土地だ。だから植生も似ていても全然不思議じゃない。(ちなみに、霧ヶ峰で見る高山植物の大半は、イギリスの野草にそっくり。)

などと、のんびり30分程、よく整備された山道を登っていくと、山頂付近の"Ring path"にたどり着いた。溶岩丘である離山の頂上は比較的平らで、そこをぐるっと山道が取り巻いている。山頂(最高地点)は、どちらかというと、山の西側にあるので、そこに辿り着く前に山の東側で測定する必要がある。離山の西と東、この二つの地点で差が出るかどうかがポイントだ。

まずは、東のポイントで測定する。道をちょっと離れて斜面を駆け上がると、尾根状の地形となっていた。森の中の、この一角で落ち葉の上にガイガーカウンタをおいて測定した。
測定地点1:頂上の東側(下の方に猿の群れがいた)
30秒間隔で測定値が出てくる。0.25, 0.30, 0.51,0.30...高いぞ。緊張が走る。0.39, 0.41, 0.75(!)....ついに、瞬間値の最高値が出てしまった!その後も、高い値が出るわ出るわ。0.2が出ると「落ちた」と思ってしまうほど。測定データをまとめると、生データが0.38μSv/hとなって、軽井沢地域としては、碓氷峠を抜いて最悪の値となった。(碓氷峠は生データが0.26μSv/hだった。)

JB4020はちょっと高めの値が出る癖があるので、補正計算してやれば、だいたい0.31μSv/h程度になりそう。これは関東のホットスポットである松戸や柏よりに匹敵する値、というより下手するとそれよりも、ちょっと高い値だ。離山の頂上近くの東側の汚染は結構ひどいのかもしれない。(下界の測定をする時間が今日は無かったのが残念。離山別荘地には大きな別荘がたくさんある。)

測定中、猿の群れが移動していったが、彼らの食事はひどく汚染されている可能性がある。

気を取り直し、山の西側にある離山の山頂を目指す。標高1255.9m。
離山の頂上(1255.9m)

頂上からの景色は素晴らしい。(が、今日はちょっと水分が多くて、透明度はなかった。)
浅間連峰、佐久山地の山々、荒船妙義の奇岩、旧軽の方面、そして塩沢湖のあたりなど、よく見えた。
離山の頂上から望む浅間山
山頂の測定場所は、三角点近くのベンチ。子供連れの登山客が結構多い。「実はこの山、結構放射能汚染があるんですよ」とは言えなかった。もしかすると、西側は大丈夫かも知れないし。
離山測定地点2:頂上にて
測定を始めると、0.07が出る等、東側の森の中と違って、結構低めの値が出てくる。最高値は0.30。20回の平均を取ると、生データで0.16μSv/hとなった。だいたい0.10μSv/hくらいの補正値になるだろう。信州にしては高い値で、セシウム137で汚染はされているの確か。しかし、外部被曝の観点からすると、関西の自然放射線レベルと大差ない値だ。離山の山頂は、問題ないレベルのようだ。

ちなみに、下山した麓にある、軽井沢東部小学校の裏門で測定してみた。結果は、生データで0.16μSv/hとなり、これは離山山頂(西側)と全く同じレベルだった。この小学校は雲場池まで歩いて5分くらいのところにあるから、離山の東側にある。(この地図を見ると、雲場池が「異常に」低かった、と言えるのかもしれない。)
小学校の裏門から見た離山。左手が西、右手が東となる。
今日の結果をまとめよう。予想通り、離山山頂付近のセシウム汚染は、西側よりも東側の方がひどかった。しかし、雲場池や小学校の値と比べると、まだ一概には離山が「汚染境界」になっているとは断定できない。雲場池の測定は再度試みるべきで、さらに複数の地点で調査する必要があるだろう。離山の測定も、山頂付近だけでなく、異なる標高地点で複数測定すべきだろう。

軽井沢がホットスポットになっている、というより、離山の東斜面(あるいは森の中?)がホットスポットになっている可能性が出て来た。そして、このホットスポットは、関東のホットスポット並みに汚染されている可能性が高い。(0.3μSv/hというのは、日光ともだいたい同じレベルだ。)標高の高いところにある、軽井沢の別荘地はひどく汚染されている可能性があるものの、旧軽銀座や雲場池、更には役場近くのDIYショップなど、標高の低いところは大丈夫ではないか?と今回の測定を終えて感じている。

下山するときも道に迷ってしまい、森の中に入り込んでしまった。斜面の向こうにこちらを伺う気配を感じたので、視線をむけると、カモシカが居た...彼らの食事も汚染されているのだろうか?
離山の頂上付近で見かけた、カモシカ
離山の自然についてまとめたものは、こちら

[追記]2012年の秋に、 軽井沢の土壌の放射能強度を測定した。その結果はこちら


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