2011年8月26日金曜日

内部被曝の調査:(0)未解決の問題らしい

最近、内部被曝に興味を持っている。医学、化学、そして物理学が絡む非常に面倒くさいテーマだが、これから100年間は避けて通れない道だと思う。

政府や役所の見解はいつも「ただちに問題はない」というやつだ。もはや、この発表を聞いて安心する人間は少ないだろう。しかし、科学者でない彼らを責めるのはちょっと酷なところもある。というのは、医学者や科学者の間でも、内部被曝の影響についてはコンセンサスがないようで、「よくわからない」というのが正直のところのようだ。

一番良いのは人体実験をやることだが、今までにそれをやったのはアメリカ軍のみ。しかし、彼らはそのデータを機密扱いにしていて、その内容を知ることが難しい。したがって、科学者コミュニティで自由に議論することができない。

数少ない「臨床データ」である広島と長崎の被爆者のカルテも貴重なデータだ。しかし、アメリカの植民地だったころの日本で広島長崎の被曝者に関する医学データは大量に記録されたものの、アメリカ占領軍政府(GHQ)は、カルテの破棄あるいは厳重隠蔽を医者たちに強要したといわれている。このため、内部被曝の詳細なデータは公に出て来てないし、日米両政府の対応は「内部被曝などない」という立場に近いらしい。

チェルノブイリのデータが、おそらく一番科学者に開かれたデータだと思われる。そして、そのデータはもっとも福島の事故に役に立つだろう。同じ原発事故だ。しかし、事故から25年しか経っておらず、内部被曝に関してはまだ「未完のデータ」と考えるべきだろう。少なくともあと50年近く待たないと、本当の意味をデータから読み取れないと思う。というのは、セシウム137の半減期は30年だからだ。(90年経っても、最初の1/8、つまり12.5%にしか減らない。)

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