2011年3月31日木曜日

内橋克人謂ふ、「国の存亡を懸ける時がきた」と。

NHKの番組をみた。「匠の時代」を書いた評論家の内橋克人氏が出演していた。今回の大災害について、国の存亡を懸けた闘いの時が訪れた、と最後にまとめた。体が震えた。

彼の分析は的確で信頼できる。10年程前、小泉—竹中改革が行われた時、「商店街などの地域コミュニティが破壊され、弱者が切られる世の中になると内橋氏は予言した。今私たちの社会はその通りとなってしまった。一億総中流、終身雇用の時代は去り、無為な競争にまみれた社会となった。(競争が悪いというのではなく、「無駄な」競争が増えたという意味。)商店街は地方での疲弊が激しく、街の中心街にある多くの老舗が店を畳み、郊外にできた大型のショッピングセンターに敗北した。(このショッピングセンターが不景気で潰れた時、街にはなにも残らない。そういう現象はもう日本のあちこちで始まっている。)5、6年程前、新聞に「働き者の豆腐屋主人が自殺した」という記事が載った時、彼の予言を思い出した。人間同士のつながりが弱まり、孤立する弱者/貧者と、彼らを喰いものにしてますます富を蓄える者との差が大きく広がってしまった。

まず、東京電力や大手銀行など、特権を握っている団体でも、間違いを犯したら、それ相応に罰せねばならない。バブル崩壊以降は特にそうだが、彼らを擁護し続けた結果、国が疲弊してしまった。そして、国の方向性を示せるリーダーを育てないといけない。深い教養をもち、思慮深く、慈悲深く、論理的でかつ、科学的な思考ができ、決断のできる人物がわれわれには必要だと思う。そういうリーダーを一人だけ育てれば良いということではなく、リーダーの候補者の母集団を増やす必要もある。教育が大切だと思う。

明治維新も、佐久間象山や吉田松陰の学校から始まったと思っている。出る杭は打つ、というやり方はもう今の日本を悪くするだけだ。才能のある若者はどんどん延ばしてやる必要があると思う。

バブル崩壊から10年経っても、日本は元にはもどらなかった。今回はもっと長くなるかもしれない。が、先の十年のように失敗を繰り返す余裕はもう日本にはない。今度ばかりは失敗したら国が滅びてしまう、と内橋克人氏は言っている。

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