2009年2月27日金曜日

Martin Wells

2月25日のThe Guardianの記事に、Martine Wellsという生物学者の、日本でいう「お悔やみ」記事があった。

タコ、イカ類(英語ではCephalopodsという)の研究で有名だそうだ。タコ、イカで思い浮かぶのが、アンモナイトやベレムナイトだ。

イギリスの南西部の海岸は世界遺産に登録されていて、ジュラシックコーストと呼ばれている。それは、アンモナイトやベレムナイトの化石がふんだんに採れるからで、時折イクチオサウルスやプレシオサウルスなど、魚竜の化石も出てくる。(私もイクチオサウルスの背骨の化石を2つ採集してもっている。)これらの無脊椎動物は、ジュラ紀に大繁栄し、白亜紀に突然恐竜と共に絶滅してしまう。原因は、隕石衝突による環境変化と言われているが、その子孫であるタコとイカは現在まで生き延びている。面白いのはオウムガイで、この化石もジュラシックコースとにいくと時々採集できるのだが(私はジュラ紀のものを3つ、白亜紀のものを3つ程採集して持っている)、気候変動を深海に生き延びたようで、その姿をジュラ紀、白亜紀以来の形にほぼ保っている、つまり「生きた化石」である。タコとイカは、アンモナイトやベレムナイトの子孫であるが、一点においてその姿が随分異なる。それは、「殻」の有無である。古いアンモナイト、ベレムナイト類は硬い殻を持っていたが故に、その化石が1億、2億の年月に耐えて現在まで残る事ができた。(本体は絶滅してしまった、というのは皮肉だが。)一方、現代のイカ、タコ類は殻を全く持たない。唯一、オウムガイだけが殻を保持している。

Martin Wellsは、現存するオウムガイと、タコイカ類の構造を比較し、なぜ後者が環境変化を耐え抜いて、前者はそれに失敗し絶滅してしまったかを、解き明かしたことで知られる、とThe Guardianにはあった。これは、すばらしい研究だと思う。詳しい事は書いてなかったが、どうも循環器系の機能が、イカやタコの方が圧倒的に優れているようだ。

ところで、この人の名字を聞いて、パッとかの有名な作家を思い起こすできる人は、かなりのSFファンだと思う.「タイムマシン」や「火星人襲来」で有名なH.G.Wellsは、この学者のおじいさんだそうだ。H.G.Wellsの母親は、今私の住んでいるHampshireにある、Upparkというお屋敷の女中をしていた。つまり、H.G.Wellsは、幼少時をポーツマスに近い、サウスダウンズと呼ばれる丘陵地帯で過ごした、ということになる。なんだか、急に親近感を覚える。

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